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2025年10月22日お知らせ

【太陽光パネルの基礎講座|第17回】 PCSのトラブル事例と点検の重要性

PCSのトラブル事例と点検の重要性

はじめに

太陽光発電所の安定稼働に欠かせない装置、パワーコンディショナ(PCS)。
発電した電気を直流から交流に変換し、電力会社や家庭・工場へと送り出す“心臓部”ですが、機械である以上トラブルが避けられない場面もあります。

実際、発電量の低下や突然の停止といった不具合の多くは PCSに起因する と言われています。
今回の記事では、PCSにありがちなトラブル事例を整理し、なぜ定期点検が欠かせないのかを分かりやすくご紹介します。


■ PCSでよくあるトラブル事例

1. エラー表示

PCSには自己診断機能が搭載されており、異常が起こるとパネルにエラーコードが表示されます。

  • 電圧異常

  • 過熱

  • 系統連系のエラー

  • 内部部品の故障
    といった多岐にわたる原因が考えられます。
    エラー表示を無視すると、発電が完全に停止してしまう恐れがあります。

2. 突然の発電停止

ある日突然、発電がゼロになった…という事例は少なくありません。
原因として多いのは、

  • 内部基板の故障

  • コンデンサの劣化

  • 冷却ファン停止による過熱
    などです。
    PCSが止まれば発電所全体が止まるため、損失は甚大です。

3. 異音や過熱

PCS内部の冷却ファンが劣化すると、異音が発生したり十分に冷却できず本体が過熱します。
その結果、内部部品がさらに劣化し、寿命を大幅に縮めてしまいます。

4. 出力低下

トラブルというほど目立たなくても、劣化によって少しずつ変換効率が落ちるケースがあります。
見た目には分かりにくいですが、年間では数%の発電ロスとなり、売電収益に大きな影響を与えます。


■ トラブルを放置するリスク

PCSの不具合を放置すると、次のようなリスクが発生します。

  1. 売電収益の損失
     1日停止するだけで数千円〜数万円の損失。長期停止なら数十万単位の収益を失う可能性もあります。

  2. 機器への二次被害
     過熱や異常な電圧は、PCSだけでなく周辺機器や配線にもダメージを与える恐れがあります。

  3. 火災リスク
     まれにショートや発熱が原因で火災につながるケースも報告されています。安全性の観点からも放置は危険です。


■ 定期点検の重要性

トラブルを未然に防ぐために欠かせないのが「定期点検」です。

1. 年次点検で劣化を早期発見

  • 電圧や出力の確認

  • 内部ファンやコンデンサの状態確認

  • エラーログのチェック
    これらを行うことで、故障の兆候を早期に発見できます。

2. 遠隔監視との併用

近年は遠隔監視システムが普及しており、PCSの発電量やエラーメッセージをリアルタイムで確認できます。
現地点検と遠隔監視を組み合わせることで、より安心な運用が可能です。

3. 洗浄や点検とのセット化

パネル洗浄による効率改善も重要ですが、その効果を最大限に活かすにはPCSが正常であることが前提です。
「パネルの洗浄+PCS点検」をセットで行うことが理想的です。


■ 実際の現場での点検例

  • ケース1:突然の停止
     点検で冷却ファンが完全に停止していることが判明。交換対応で復旧。

  • ケース2:発電量の低下
     パネル洗浄後も数値が伸びず調査したところ、PCS効率の低下が原因。交換後は発電量が改善。

  • ケース3:エラー頻発
     内部のコンデンサ劣化が原因。事前に交換することで大規模な停止を防止。

このように、点検で「小さな不具合」を早めに見つけることが、大きな損失を防ぐカギとなります。


■ まとめ

PCSは太陽光発電の心臓部であり、トラブルが発生すると発電全体に直結します。
よくある事例は、

  • エラー表示

  • 発電停止

  • 異音・過熱

  • 出力低下

これらを放置すれば、収益損失や安全リスクにつながります。

だからこそ、定期点検と監視の徹底が不可欠です。
パネル洗浄とあわせてPCSの点検を行うことで、システム全体の健康を守り、長期的な安定発電を実現できます。

次回は「PCSの最新動向と今後の技術革新」をテーマに、最新型PCSがどのように進化しているのか、未来のエネルギーとの関わりについてご紹介いたします。

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